トコトリエノールは植物界において自然に存在し、大麦、米、ライ麦、小麦、オート麦などに含まれています。中でもアブラヤシ(学名:Elaeis guineensis)はトコトリエノールの最も豊富な供給源であり(最大800 mg/kg)、78%をトコトリエノール、22%をトコフェノールが占めています。西アフリカ原産のアブラヤシは、マレーシア、インドネシア、タイなどの東南アジア諸国で広く栽培されており、ヤシ果実の中果皮から抽出されるパーム油が料理によく使われています。近年、食品業界ではトランス脂肪酸を含まない植物油であるパーム油の使用が人気となり、特に米国での人気が高まっています。
トコトリエノールは天然の食品にも含まれていますが、これらの栄養源からヒトにとって十分な量のトコトリエノールが摂取できるかが重大な関心事となっています。一般的に、生物学的に有効な量のトコトリエノールを摂取するには、パーム油であれば80 g、小麦胚芽、大麦、オート麦であれば1.5~4.0 kgを消費しなければなりません。以上のことから、体の健康維持のために生物学的に有効な量を摂取する助けとして栄養サプリメントが重要な役割を果たす可能性が示唆されています。