私たちは、2種類のビタミンEの中でも比較的不明な点が多いトコトリエノールに関心を寄せてきました。これまでに、トコトリエノールはより一般的なビタミンEであるトコフェロールに比べ、微量でも極めて高い神経保護作用があることが示されています。また、大規模な動物試験において、トコトリエノールには神経保護作用があるだけでなく、脳卒中の発症部位への血流を促進することが示されています。トコトリエノールの脳細胞を細胞死から保護するメカニズムには、主に4つの分子チェックポイントがあることがわかっており、さらに脳の罹患部位への血流改善に関連している新たなメカニズムも特定されています。これらを総合すると、トコトリエノールは複数の経路を通じて脳の小血管疾患を軽減する可能性があると考えられます。これらの所見は、トコトリエノールが脳の小血管疾患に対する保護という共通目標に向けて複数のターゲットを標的とする天然の分子であることを示しており、極めて有望な所見と言えます。
【関連文献】
大規模動物試験:
主要な4つの分子チェックポイント: